50代にして米軍。

アメリカに来てから、それはもうたくさんのところで日本語を教えた。 サンフランシスコにいた時、「私は幼稚園から大学まで、すべての学校機関で教えた。」という先生にお目にかかったことがあるけれど、私はこれに、「企業」と「軍隊」が加わるのだ。 

サンディエゴは、観光地だと思っている人も多いが、実は軍港なのだ。 日本でもよく知られているのは、トップガンのあるミラマーだけど、コロナドアイランドという海軍の拠点があり、ペンドルトンという海兵隊の巨大な基地もある。

私はこのうちのコロナドの海軍基地で、毎日フルタイムで日本語を教えていたことがある。朝7時から3時まで、ずーと日本語を教え続ける、という体力のいる職場だった。 それで4週間で、OPI (Oral Proficiency Interview) のテストに合格させなければならない。 私は、なんと50歳を超えてから、米軍の教官になったわけだ。 おかげで映画でしか見られないような、新兵の訓練や、早朝のセレモニーなどを教室の窓から眺めることができた。

私の生徒は新兵ではなく、ネイビーシールズと呼ばれる特殊部隊の若者だった。 過酷な訓練法で知られる部隊だけど、一度、試しに、「君って、だいたいどのぐらい泳げるのよ?」と聞いたことがある。 こんなレベルの質問しかできない私に問題があるのは承知しているが、知りたかったのだ。 答えは「5マイル」だった。 

マグロか!