裁判官じゃなかったの。

娘が幼稚園生の時、様々な職業の格好の型紙から(例えば医者なら、白衣を着て、聴診器、注射をもっている)自分が将来なりたいものを選んで、塗り絵をした後、自分の顔写真を貼り付けて、終わり、という工作をしていた。 私の娘は、スモックに法律の本と小槌を手に抱えていた型紙を選んだ。 で、私は、おー裁判官か、頼もしいな、と思ったし、夫の従姉妹などは、こういう風に小さい頃に決めたことって案外、本当になるかもよ、と調子のいいこと言ってくれたりした。 私も親バカだから、じゃーこれ取っておこうか、と言って、それは長い間壁に貼っていたりした。 

もう娘が高校生になった時、このことで、私は絶句した。 これまだ持っているの、私、このトンカチ持っている人、大工さんだと思ってたのよ、と彼女が言ったからだ。

とても手先が器用で、道具類を自由に操って、モノ作りを好み、力仕事もこなすから、君の夢はやはり叶ったね。