アメリカに住む理由

日本が大好きなのに、アメリカに25年も住んでいる。日本に帰りたい、といつも思っている。 関空であれ、成田であれ、降り立った途端、体全身が喜んでいるのを感じる。涙がうっすらと滲む。 

なぜ私はここにいるのよ。 とベッドの上で、この疑問を投げかけたことがある。 目に見えないものに向かって、いつものように愚痴を言ったのだ。 神だか天だか、大宇宙だか、私は知らない。 相手が誰かは意識しなかった。 サンフランシスコの対岸の町に住んでいた時、まだ子供が小さかった頃だ。

私は鈍い方で、身の回りで、超自然現象など、滅多に起こらない。頭が硬い女だ。

でも、この時だけ、確かに答えが返ってきた。 声が聞こえたとか、自動筆記だとか、そのようなものではない。 アイデアのかたまりのようなものが、急に、頭の中に入ってきたのだ。私自身が考えた答えではない。 およびもつかない思考だったからだ。 私の中にあったものではなくて、明らかにそれは異物だった。 だいたい私は、愚痴を呟いたのであって、答えを期待していたのではない。

その答えとは、「ポジティブな言葉を使って、陽気に生きることを学ぶ為」だった。

というわけで、それから数年たち、娘も成人しているのに、いまだにアメリカにいる。まだ訓練が必要なのか。 やれやれ。